目やに(眼脂)がでる
「目やに」とは、目から出る分泌物のことであり、目の表面の結膜(白目)にある細胞の代謝産物からなります。眼も皮膚などと同じように常に新しい細胞に生まれ変わっていきます。これを代謝と言い、代謝によって生じた古い細胞などの老廃物が「目やに」になります。皮膚で言えば、垢のようなものです。
朝起きると目頭や目尻に少量の「目やに」が付いていることがありますが、これは眠っているときには瞬きをしないため、涙による洗い流しが上手く出来ないことによって生じるものであり、特に病的なものではありません。ですので、治療する必要もなければ、気にすることもありません。病的な「目やに」とは、日中も続くような多量の「目やに」であり、多くの場合、結膜炎を伴い目が赤くなっています。
主な原因として、細菌感染、ウイルス感染、アレルギー性結膜炎などがあげられます。細菌感染では黄色くてドロッとした「目やに」、ウイルス感染では白っぽくてネバネバした「目やに」、アレルギーによるものはサラサラとした水のような性状が特徴です。
目が赤くなっていて日中も「目やに」が続く場合は、上記のような眼病の可能性が高いので、眼科を受診の上、適切な治療を受けて下さい。
考えられる病名
目が赤い
目が赤くなっている場合、結膜(白目)の出血か充血を疑います。ベタッとした赤みで他に症状がない場合、「結膜下出血」かもしれません。この疾患は1~2週間で自然治癒するので、心配いりません。
結膜(白目)の充血には、「アレルギー性結膜炎」「感染性結膜炎」「ドライアイ」「虹彩炎」などの眼病が考えられます。 これらの疾患には、目やに、痒み、異物感や痛み、かすんで見えるなど様々な症状を随伴していることがほとんどです。眼科を受診して適切な治療を受けましょう。
目の外傷
「目の外傷」といっても、砂やゴミが入ったという比較的軽症なものから、眼球に釘が刺さったとかゴルフボールが当たって眼球が破裂したなど緊急手術を要するような重篤な傷病まで多岐にわたります。
ちょっとしたゴミや虫が入った場合は、まず水道水で洗ってもらって構いません。異物感が取れなかったり痛みが増すようなら、眼科を受診しましょう。木の枝や針金が当たったような場合は、結構深く傷ついていることがありますので、早めに眼科に行くのが良いでしょう。
目を強くぶつけたとかボールが当たったりした場合、眼内に出血を起こしたり、網膜剥離を生じたりしていることがあります。黒いものが浮遊して見えたり、視力が低下している場合には、できるだけ早めに眼科を受診して下さい。症状がほとんどなくても、強くぶつけた場合には、一度眼科で精査しておくことをお勧めします。
重度の外傷は痛みや吐き気を伴うことが多いので、たいていその日の内に眼科を受診されますが、中には鉄の破片の飛入など痛みが少なく最初の内はあまり見え方も悪くならないような重症の外傷もあります。
何か硬いものが高速で飛入した可能性がある場合や強く目をぶつけたりした場合には、症状があまりなくても出来るだけ早めに眼科を受診されることをお勧めします。
考えられる病名
黒目が白い
角膜である黒目に白い濁りが発生した場合、「角膜潰瘍」「角膜変性症」かもしれません。「成熟白内障」という進行した白内障でも黒目の中心が白く見えることがあります。眼科を受診して詳しく調べましょう。
乳幼児の子供さんの場合、「未熟児網膜症」、「網膜芽細胞腫」、「先天白内障」が原因で黒目の真ん中の瞳孔が白く見えることが極稀にあります。お子様が罹患していないか心配な場合は、眼科に行って相談するといいでしょう。
考えられる病名
目が痛い
「ドライアイ」、「結膜炎」、「角膜・結膜異物」、「角膜ヘルペス」、「眼精疲労」のいずれかを罹患している際、『目が痛い』と感じます。その際に他の症状として「目の中がゴロゴロする…」、「瞬きをすると痛い…」、「眼の表面が痛くて涙が出る」、「目の奥が痛い」などの症状が表れます。
「目がゴロゴロする」場合は「ドライアイ」、「結膜炎」が原因と考えられます。エアコンの効きすぎた部屋や、テレビモニターを見つめすぎると「ドライアイ」の症状が表れます。また、コンタクレンズにバイ菌が付着していたりすると「結膜炎」を発症する可能性があります。診療を受け、原因を究明した上で適切な処置を受けてください。
続いて「瞬きをすると痛い」場合は、「角膜・結膜異物」の可能性があります。異物が入り、局所的な炎症が引き起こされています。この様な症状が出ている時も自分で判断をせずに眼科に行くようにしましょう。
「目の表面が痛くて涙が出る」このような症状が出ている時は、ウイルス感染による「角膜ヘルペス」の可能性が高いです。黒目の表面が傷ついているケースが考えられるので、痛みを我慢せず眼科で診療を受けてください。傷の程度にもよりますが、引っ掻いたくらいの傷であれば程なく治ります。
目を酷使して「眼精疲労」が発生した場合は「目の奥が痛い」という症状がでます。炎症を起こしていると視力低下を併発するので、専門医の治療を受けましょう。
考えられる病名
目がかゆい
『目がかゆい』という症状の最も多くの原因は「アレルギー性結膜炎」と、「感染性結膜炎」です。「アレルギー性結膜炎」が痒みの原因になる時は、花粉などアレルギーの原因となる異物が目の中に入ることで痒みが出てきます。「感染性結膜炎」の場合はウイルス感染が原因となります。
「アレルギー性結膜炎」の場合は、アレルギー反応をおさえる抗アレルギー点眼薬及び内服薬で痒みを抑えます。続いては根本解決のために自身のアレルギー物質を、検査します。原因となる物質は様々で花粉・ノミ・ダニ・ハウスダスト・カビ・細菌などが目の痒みを引き起こす原因として考えられます。アレルギーは体質によって違うので、それぞれに対応した対策が必要となります。アレルギーが原因による『目のかゆみ』は治療と同じくらい、予防も重要になるので、眼科にかかり検査をした上で抜本的な解決を図りましょう。
そして、ウイルス感染によって引き起こされる「感染性結膜炎」の場合は、炎症を抑える点眼剤で治療します。感染力が強い「ウイルス性結膜炎」とインフルエンザ菌や肺炎球菌が原因となる「細菌性結膜炎」があります。この二つでは治療方法が違うので速やかに医師の診断を受けてください。
それ以外にはコンタクトレンズが目に合っていない・目の乾燥からくるドライアイなども目のかゆみを引き起こします。どちらの場合でも医師の診察を経て、適切な処置を講じる必要があります。
考えられる病名
目がかすむ
『目がかすむ』原因は、「目の疲れ(眼精疲労)」「ドライアイ」「老視」「屈折異常」「白内障」や「緑内障」などといった病気の初期症状が挙げられます。
「眼精疲労」による目のかすみは、長時間ディスプレイを見つめたり、メガネやコンタクトレンズの度が合っていないことなどが原因で引き起こされます。
また、パソコンでの作業はまばたき回数の減少を招き「ドライアイ」の原因になります。医師と相談のうえ何が原因なのかを正しく突き止め、適切な対処をしましょう。
「老視」の症状として『目がかすむ』場合もあります。誰にでも訪れる「老眼」ですが、症状の進行具合によって対処方法が少しずつ違ってくるので、医師と相談して決めましょう。
近視・遠視・乱視の総称である「屈折異常」でも『目がかすむ』ことがあります。コンタクトレンズやメガネを使うことで解消することができます。専門医に適切な度数を検査してもらいましょう。
「白内障」や「緑内障」といった病気の進行過程で『目がかすむ』ことがあります。進行するにつれてものがだぶって見えたり光が眩しく感じられたりするので、少しでも目に異常を感じたら医師の診断を受けましょう。
考えられる病名
まばたきが多い
『まばたきが多い』という症状の原因として、「眼精疲労」「ドライアイ」「眼瞼痙攣」子どもの「チック症」が挙げられます。
「眼精疲労」が原因の場合は、目を長時間酷使する環境に置かれるため、まばたきが多くなっていることが考えられます。症状が悪化すると「まばたきの多さ」が「体調不良」にまで発展します。「眼精疲労」の原因は目・体・精神・環境と多様に分かれているので、眼科の検診を受けて何が原因なのかを突き止めて適切な処置をとってください。
目が乾燥する「ドライアイ」の症状の一つにまばたきの回数増加が挙げられます。こちらも「眼精疲労」と同様に症状が悪化すると「目の乾燥」や、「視界の霞」などの症状が表れます。自分の判断で放置をせず、専門医の診察を受けるようにしましょう。
「眼瞼痙攣」は自分の意志とは関係なしに、まぶたの筋肉がけいれんする病気でまばたきが多くなります。「ドライアイ」と似たような症状が出ますが、進行が進むと目が開けられなくなることもあるので、放っておかずに眼科で診察を受けてください。
そして、5~10歳前後の男児によく見られる「チック症」の症状にもまばたきの多さが挙げられます。まばたきの多さは症状のひとつに過ぎず、「運動チック」と「音声チック」の二種類には様々な症状が含まれます。治療には生活指導と薬物治療が必要となるため、専門医の診察を受けて少しずつ改善していきましょう。
考えられる病名
視野が狭い
『視野が狭い』という症状で疑われる病気は、「緑内障」または「網膜色素変性症」です。
「緑内障」が原因の場合、点眼治療から始めることが一般的です。症状の進行状況次第では「レーザー治療」や「手術」を行う場合もあります。ご注意いただきたいのが「緑内障」は”見える範囲が狭くなってから初めて気づく”ケースがほとんどです。日常生活を送っている際は両目で見ているため、片目の視野が狭くなっていても中々、自覚することが難しく、日本人の中途失明原因の第一位が「緑内障」による「視野欠損」だということからも進行の気づきにくさがお分かり頂けると思います。そして、徐々に進行する「視野欠損」で失われた視野は元に戻りません。手遅れになる前に予防するために、定期的な検診を受けることが大事です。目の縁が見えにくくなるなど、少しでも症状が表れたら医師の診断を受けてください。
「網膜色素変性症」が原因の場合は、医師の診察の下で適切な治療を受ける必要があります。初期段階では、暗い所が見えにくくなる「夜盲」に近い症状が表れます。夜歩くのに支障が出だした後に、昼間でも視界が狭くなっていきます。症状が悪化していくと、明るい場所にいると強いまぶしさを感じるなどの症状が出てきます。「網膜色素変性症」は中途失明の3大原因の一つに数えれるほどの病気です。もしも、「暗いところで見えづらくなった…」と言うような症状が表れたら、即座に眼科で適切な治療を受けてください。
考えられる病名
眼前にちらちらするものがある
小さな虫やゴミのような浮遊物が目の前にちらちら見える症状を「飛蚊症(ひぶんしょう)」と言います。
「飛蚊症」は、水晶体と網膜の間にある卵の白味のようなドロッとした性状の硝子体という組織の中に混濁が生じ、それが網膜に影を落とすことによって生じます。
50歳くらいになると硝子体に年齢的な変化が生じ、硝子体が網膜から剥がれてきます。これを後部硝子体剥離と言いますが、この時硝子体中に混濁が出現し飛蚊症を生じます。これ自体は誰でも経験することで異常ではありませんが、この変化に伴って網膜に孔が開いたり(網膜裂孔)、網膜が剥がれたり(裂孔原性網膜剥離)することがありますので、飛蚊症が生じた場合には上記のような病変を随伴していないかどうかを精査しておく必要があります。
特に数の多い飛蚊症や進行性の視野狭窄を伴っている場合には、網膜裂孔や裂孔原性網膜剥離を発症している可能性がありますので、出来るだけ早めに眼科を受診されることをお勧めします。
考えられる病名
暗い場所がとても苦手
『暗い場所が苦手』というのは、暗いところで見えにくくなる「夜盲症」かもしれません。代表的な疾患に網膜色素変性症があり、この疾患について精査が必要です。
網膜色素変性症は、徐々に視力低下や視野狭窄が進行していく病気ですが、現時点で有効な治療法がないとされています。ただ、白内障などを合併していることも多く、それら合併症に対する治療は有効なこともありますので、眼科で精査して治療方針を検討しましょう。
網膜色素変性症は、申請をすれば厚生労働省の医療費補助制度が適用される疾患です。
眩しい
昼間に屋外で眩しさを感じたり、夜間自動車を運転中に対向車のヘッドライトが眩しく感じたりする場合、他にこれといった症状がなければ、目の中のレンズ(水晶体)が濁ってくる「白内障」かもしれません。水晶体はもともと透明ですが、年齢的な変化などで徐々に濁ってきます。眼内に入った光がこの水晶体が濁っているところで乱反射を起こすため、眩しさを感じます。
眩しさの原因となっている水晶体の濁りを除去する為には手術をするしかありません。屋外での仕事をされていてあまりに眩しくて仕事ができないとか、夜間車の運転をする仕事をされていて車の運転が怖くてできなくなったなどの訴えがある場合は、手術を検討することもありますが、通常眩しさだけでは手術をせずに様子をみることも多いです。中には色つきの眼鏡をかけられる方もいらっしゃいますが、それで症状がとれて生活や仕事に支障を来さなければ、色つき眼鏡で様子をみても構いません。眩しさの他に視力低下やかすみを伴っている場合は、手術の適応になりますが、濁りの程度や視力の数値、あるいは患者さんがどれくらい不自由に感じておかれるかなどを勘案して手術をするかどうかを決めていきます。
眩しさは、白内障以外に角膜炎、ドライアイ、眼瞼痙攣、ぶどう膜炎などでも生じることがあります。まずは眼科専門医を受診して、原因を精査することが大切です。